Tamura ヒトハタ
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子供たちの自然を受け継ぐ意思を育む

予備校講師/フリーライター/一般社団法人FLAP 神崎憲一(みなかみ町)

2018年に千葉県から群馬県みなかみ町に移住した神崎憲一さん。みなかみ町での約一年半を過ごした今、暮らしの中にある楽しみや、ハタラク意識の変化についてお話を伺いました。

「毎日迎える朝が変わった」みなかみ町での暮らし

移住して一番変わったことは、毎日迎える朝の心地よさですね。僕の家は小高い丘の上にあって、町が一望できる場所にあるのですが、朝、窓を開けたときの景色や空気がこれまでの暮らしとは全く違います。気持ちのいい朝を迎えられるとその日一日のコンディションも違います。テレワークセンターMINAKAMIのコワーキングスペースを借りて仕事をしているのですが、自宅から車で10分程の移動中も町の景色を眺めることでリフレッシュする時間になっています。

みなかみ町を知ってから1年で移住

ある時、偶然メールでみなかみ町のイベントがあることを知りました。その日はたまたま会場の近くで別の予定があったので、なんとなく参加して話を聞いて「なかなかよさそうだな」と感じました。初めて町を訪れたのは雪の季節です。よく晴れた日で、一ノ倉沢を望む素晴らしい眺望の場所に案内してもらいました。その景色や町の空気感に惹かれて、みなかみ町に通い始めるようになりました。通い始めて5回目に、農泊をさせて頂いたのが最終的な決め手となり、町を知ってから1年後には移住しました。それまで田舎暮らしには全く興味がなかったのですが、みなかみ町にはなぜかとても惹かれるものがありました。ヒトとの出会いもよかったですし、同じ頃に県内の予備校の仕事に誘われるなど、さまざまな縁がタイミングよくつながったことも大きかったですね。

さまざまな子供たちを教育でサポート

現在はフリーランスで子供たちの教育に関わる仕事をしています。大学時代から塾の講師として忙しく働き、30歳を過ぎた頃には管理職になっていて、子供たちを教える現場から遠ざかっていました。子供たちに教えることは予測不能な部分も含めてとても楽しいものです。「やはり現場に戻ろう」と勤めていた塾を退職しました。今は、フリーランスの講師として塾で教えたり、家からでられない子供たちの学習支援を行うようになりました。

子供たちが伸びやかに笑える「サードプレイス」をつくる

将来的には、子供たちが安心して、笑って、走って過ごせる場所をつくりたいと思っています。子供の時にのびのびと過ごした経験は大人になっても生きてくると思うんですよね。転がり落ちてきたら受け止めるから、行っておいでと子供たちにいえる場所。僕が通っていた中学校は先生方が非常におおらかで「こういうことをやってみたい」というと「じゃあ、どうなるか自分たちでやってごらん」と自由にやらせてくれたんですね。そういう原体験があるので、箱の中に閉じ込めるのではなく、子供たちが自由に挑戦できる“子供たちの居場所”“子供たちのためのサードプレイス”を作りたいと思っています。

子供たちにも伝えたい、みなかみ町の自然環境を受け継ぐこと

みなかみ町に来て、時間に追われる感覚がなくなりました。「これをしなきゃ、あれをしなきゃ」というよりも、「明日は一ノ倉沢までハイキングだから、これをやっておこう」という感じのメリハリに変わりました。先日も朝6時から7時までカヌーに乗って、その後に仕事をしました。みなかみ町では自然と暮らしとハタラクが隣り合わせです。こうした暮らしを経験したからこそ、この町の自然環境は受け継いでいかなければならないものだと感じています。教育を通して関わりながら、この自然を大事に受け継いでいこうという子供たちの意思を育んでいくことができればいいなと思っています。「何にもないけど、何でもある」それがみなかみ町ですね。