ヒトが豊かに生きるインフラを創る
長野県佐久市にあるワークテラス佐久を拠点に、コワーキングという働き方でコミュニティや居場所づくりに取り組んでいる江原政文さんにお話を伺いました。
フラットな人間関係が成り立つ、コワーキングの面白さ
僕は佐久市出身です。大学進学で松本市に行き、そのまま就職して15年ほど住んでいましたが、5年ほど前に会社を辞めて、佐久市に戻ってきました。そのころ長野県内にコワーキングスペースができて、出入りするうちにコワーキングの面白さに気がつきました。フラットな人間関係の中で、ふっとプロジェクトが立ち上がったりする感じが面白かったんですね。そこで4年前に、自分でも佐久市内でコワーキングスペースを始めました。建物の関係でその場所を離れなくてはならないとなった時に、ワークテラス佐久が立ち上がることになり、いまはこの場所でコワーキングスペースを運営しています。
みんなで耕しみんなで創る「うちやまコミュニティ農園」
昨年は、内山地区にコミュニティ農園をつくりました。区画貸しの農園ではなく、みんなで耕して、みんなで創る。コミュニティで「農」することを目的にしています。耕作放棄地の問題や、農業についての学びや承継の意味合いもありますが、農を通して「もうひとつの居場所」をつくることもできています。参加者は職業もばらばらですし、県外から通っている人もいます。ここにもコワーキングの概念が当てはまるのではないかな、と思っています。
ヒトが豊かに生きるインフラと内在するコミュニティ
僕は、ヒトが豊かに生きるインフラを創りたいなと思っています。豊かに生きるとはどういうことか? を考えると、マズローの「欲求5段階説」みたいなものが満たされている状態かな、と思っています。農園があることで、生理的欲求や安全欲求が満たされ、居場所があることで社会的欲求が満たされる。コワーキングが夢を実現する場であれば、尊厳欲求や自己実現欲求が満たされる。そういう両輪を創っていきたいですね。大人になってもチャレンジする人がたくさんいる地域は楽しくなると思います。魅力的な大人が交差する場所としてコワーキングスペースがあり、その中にいい距離間のゆるやなかコミュニティがあることが、豊かに行きるインフラではないかと思っています。
都市部からのチャレンジとローカルコミュニティの可能性
佐久市のこれからについては、都市部からチャレンジしにくる方とローカルコミュニティをつなぐことで、面白いかかわりが生まれるサポートをしていきたいと思っています。佐久市ではコワーキングスペースでの仕事を持ちながら農業や林業に関わる暮らしも実現可能なのです。コミュニティを開いて多様な未来を皆さんと創っていきたいですね。